暦の上では、もうすぐ秋が終わり、いよいよ冬が始まります。
ひんやりとした空気が漂い、青空には飛行機雲がまっすぐに伸びています。

 

 

飛行機雲とは、その名の通り飛行機の航跡にできる線状の雲のこと。雲は基本的に10種類に分類されますが、飛行機雲はどれにも属さないちょっと特殊な雲です。英語での表記も「contrail(航跡)」や「vapor trail(水蒸気の跡)」となっており、雲というよりは人工物といった印象が強めです。工場の排ガスからできるものと同様に、自然に発生するものではないため「人為起源雲」と呼ばれます。

 

 

飛行機雲の出来方には大まかに分けると2種類あります。一つは、飛行機の排気ガスによるもの。排気ガスに含まれている水蒸気やチリが、上空の冷えた空気に触れることで急激に冷やされ雲へと変化します。これは、冬の寒い日に吐く息が白くなるのと同じ原理です。

二つ目は、空気が乱されたことによりできる渦によるもの。局所的に上昇気流が発生し、湿った空気が上昇し冷やされることで雲が形成されます。

 

どちらにおいても、大気が乾いている状態だとすぐに蒸発して目に見えなくなり、湿度の高い日は長く残ります。次第に巻雲など大きな雲に成長することもあります。

 

 

また、空の様子から天気を予想する「観天望気」でも「飛行機雲がすぐに消えると晴れ、なかなか消えないときは雨」といわれています。飛行機雲を見て上空の湿り具合が判断できるというわけです。これを初めて知ったときは、見つけるたびに明日は雨だと騒いでいたなあと懐かしく思います。

 

飛行機雲の中でも、なかなかお目にかかれない「消滅飛行機雲」という珍しい雲があります。別名を「逆飛行機雲」というのですが、雲が薄く広がる中を飛行機が通ると航跡に沿って雲がなくなり、青空の線が浮かび上がる雲のこと。これはエンジンから排出される高温によって雲が蒸発してしまう事によります。雲の高度と飛行機の通過する高度が一致していないと見られない本当に珍しい雲だといわれています。

 

 

ちなみに、航空祭などで披露されるブルーインパルスの曲技飛行でもくもくしているものは雲ではありません。これは特殊なオイルを噴射し、燃焼させ発生させた、スモークと呼ばれる白い煙です。このスモークで星やハートなどいろんな形を作り出して観客を楽しませます。2020年の東京オリンピック開会式でも飛行が検討されているそうです。季節は夏。青空に映えてきっと綺麗だろうなと思います。

 

 

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