今年も、桜の季節がやってきました。
全国各地で開花宣言の知らせを聞くと、いよいよ春本番という感じがして、わくわく、そわそわ、どこか落ち着かない気持ちになります。

日本人が古くから、ほんとうに古くから愛してきた桜。
満開の桜はもちろんきれいだけど、やがて散りゆく姿にも、はかないものへの愛おしさや、美しさを感じます。

 

 

ついこのあいだ年が明けたような気がしてしまいますが、はやいもので2019年ももう4月。新しく入った会社や大学の部活では、歓迎会としてお花見をすることが多いとおもいますが、夜に咲く桜はとても幻想的で、昼とはまたちがった顔をみることができます。

 

 

夜空を背景にした桜はほんとうにきれいで、みていると吸いこまれそうになります。
お酒も入り、お花見でさわいでいても、ふと桜をみあげると、まるでその場に自分だけになったような静けさを感じます。
昔のひとたちも、同じ気持ちでみていたのだろうかと、ついものおもいにふけってしまいます。

桜にはとても多くの種類がありますが、今みられる桜並木のおおくは染井吉野(そめいよしの)がほとんど。そめいよしのは比較的新しい品種で、はじめて開花したのは明治へと時代がうつりかわるころ。
増やしやすいので全国にうえられ、つぎつぎに桜の名所が誕生していきました。

 

 

そめいよしの以前の桜といえば、山あいに咲く「山桜」でした。
そめいよしのにくらべ、落ち着いた印象をもつ美しい桜です。
江戸時代の人々は、この山桜をみて花見を楽しんでいたのですね。

昔は、今とちがい一年中花を咲かす園芸種もなかったので、春になったら山々をほんのり彩る山桜をどれほど楽しみに待っていたのだろうとおもいます。夜には、月明かりだけがほんのりと桜の姿をうかびあがらせる様は、どれほど美しかったのだろうとおもいます。

 

 

一年を72の季節でわけた七十二候にも「桜始めて開く(さくらはじめてひらく)」があり、春にはじめて桜が咲くころをいいあらわしています。
桜と聞くとどの枝にも花をびっしりとつけた桜並木を思いうかべますが、咲きはじめも、散るさまも、足元に落ちた花びらも美しいもの。昔から桜が愛されている理由は、日々その移りかわりをみているとよくわかります。

 

 

今年も、満を辞してしていっせいに咲きはじめた桜。
毎日、朝、昼、夜とそれぞれ趣のことなる美しい顔をみせてくれます。

 

 

 

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