こよみの学校

第148回 平成から令和へ―正月のような10日間

まるで大晦日?平成最後の日

平成最後の日である4月30日には天皇退位の儀式が成年皇族全員を集めて厳粛に執り行われ、令和初日の5月1日には新天皇の即位式が男系皇族のみで挙行されました。マスコミの報道も剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀を中心とする一連の儀式に焦点が当てられました。そして、平成を振り返る特集が組まれ、それが終わると、令和への期待を込めた番組や記事に切り替わりました。しかし、5月2日になると一斉に皇位継承の問題が取り上げられ、祝賀ムードにもかかわらず懸念と不安が浮上する格好となりました。

とはいえ、街の雰囲気は正月に似たところが多々感じられました。渋谷の交差点では雨をものともせずカウントダウンがおこなわれ、郡上(ぐじょう)踊りのように花火が打ち上げられたところもあったようです。正月には除夜の鐘がつきものですが、このたびは春節のように花火で祝すという趣向が加わりました。NHKのテレビでは「ゆく年くる年」をもじって「ゆく時代くる時代~平成最後の日スペシャル~」の特番が組まれました。正月はいつも初詣でにぎわう明治神宮ですが、今回は御朱印を求める長蛇の列ができ、最後尾には10時間待ちの表示板が立ちました。正月の定番である福袋を商魂たくましく配る店もあり、初売りセールも目白押しでした。

しかし、正月とはちがって賀状のやりとりはなく、新旧のカレンダーを取り換える必要もありませんでした。令和初日に結婚届を出すカップルが続出したことも正月の風景とは異なっていました。とはいえ、帰省ラッシュによる交通渋滞は正月なみに発生し、海外旅行もいつものGW以上に人気がありました。

令和元年の1週間

世界的に見ると5月1日はメーデーと決まっていますが、労働組合の連合は4月27日(土)に東京の代々木公園で集会とデモを実施しました。これはおどろくに値しません。なぜなら、20年近くも前からGWの最初にもってきているからです。名古屋や大阪ではメーデーの日に集会をひらき、パレードをおこない、名古屋では3000人の人たちが集まったと報じられています。即位の日とメーデーが重なっても規制や弾圧につながらないところが現代日本の姿です。

5月3日は憲法記念日です。これもいつものように護憲派と改憲派の双方の集会が各地でそれぞれ開かれました。ただ、例年と多少ちがったところは、安倍晋三首相がビデオ・メッセージで令和への改元を機に改憲議論を進めるべきだと2年前の内容をあらためて強調したことです。それと対照的だったのは、新天皇が朝見の儀で「憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たす」と憲法に言及して誓ったことです。

5月4日にはこれまた正月のように一般参賀がおこなわれました。宮殿のベランダにお立ちになられたのは、新天皇と新皇后、ならびに上皇、上皇后を除く成年皇族の方がたでした。10時から6回にわたる参賀には14万人以上の人びとがつめかけ、「令和万歳!」などの歓声を上げ、日の丸の小旗が振られました。外国人の姿も目立ちました。天皇は「我が国が諸外国と手を携えて、世界平和を求めつつ、一層の発展を遂げることを心から願っております」と述べられました。これからは平和外交が皇室のおおきな課題になることが予感されました。

5月5日はこどもの日。東京では上皇と上皇后がゆかりのテニスクラブを訪問され、旧交を温められました。他方、大阪では甲子園球場に珍事がおきました。阪神の福留孝介選手が自身通算5本目のサヨナラ・ホームランを放ちましたが、なんとこれがセ・リーグの5万本目であるだけでなく、5番打者が5-5の試合で5打席目に打ったというのです。ちびっこファンのインタビューにご満悦の福留選手でした。

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