こよみの学校

第202回 九星盤と遁甲の法則

九星とは一白水星から九紫火星にいたる九つの星のことで、その廻座する座所によってその時々の運勢や方位の吉凶を知ることで運命を向上・改善することにあると述べました。

第201回 九星と節切り-運勢判断との関係

その方位を割り出すためにつかわれるのが九星盤(方位盤)です。では九星盤とはどのようなものでしょうか。たとえば今年(令和4年、2022年、壬寅、五黄土星)の年盤は次のようになっています。

九星盤は八角形ですが、いわゆる気学で使用される九星盤は均等割ではありません。東・西・南・北は30度の範囲、東北・東南・西南・西北は60度の範囲です。しかも、ふつうの地図とはちがって、上が南、下が北、右が西、左が東です。

十二支と九星の八方位における方位と座所名は次の通りです。

北坎宮(かんきゅう)は子と一白水星の定位地、東北の艮宮(ごんきゅう)は丑と寅、八白土星の定位地、東の震宮(しんきゅう)は卯と三碧木星の定位地、東南の巽宮(そんきゅう)は辰と巳、四緑木星の定位地、南の離宮(りきゅう)は午と九紫火星の定位地、西南の坤宮(こんきゅう)は未と申、二黒土星の定位地、西の兌宮(だきゅう)は酉と七赤金星の定位地、西北の乾宮(けんきゅう)は戌と亥、六白金星の定位地です。それに中央の中宮(ちゅうぐう)は五黄土星の定位地です。

全ての九星が定位地にある盤を後天定位盤(こうてんじょういばん)といいます。十二支は不動で位置を変えることはしませんが、九星は後天定位盤の上を年毎、月毎、日毎に循環します。その循環には一定の法則があり、五黄土星(5と表示)を例にとると、次の図ようになります。

中央→西北→西→東北→南→北→西南→東→東南の順で動き、ふたたび中央に戻ります。この循環運動を遁甲(とんこう)とも言います。遁甲といえば、忍術のことを思い出すかもしれません。まさに予測のつかない妙な動き方をします。

九星はこのように9年(あるいは9ヵ月、ないし9日)をかけて循環運動をしていることがわかります。つまり、九星は9つの宮を遁甲の法則にしたがって移動しているのです。それを廻座(かいざ)と称しますが、その廻座する座所にともなって、運勢や吉凶の方位が変わります。

要するに、九星による運勢判断の基本は一見不規則に見えて、実は9の周期で規則的に移動する9つの星にかかっているのです。

9つの星には火星、水星、木星、金星、土星の名前が付いていますが、実際の惑星ではなく、想像上の星です。知っておかねばならないのは九星の廻座にともなう5つの凶方位です。なぜなら九星を用いた占星術は凶の方角を避けた後に吉の方位を決めていくという、一種の消去法をとっているからです。

凶方位は歳破、五黄殺、暗剣殺、本命殺、的殺の5つです。

①五黄殺(ごおうさつ)は五黄土星が位置する方位です。今年は五黄土星が中宮に廻座しますから、避ける必要がありません。

②暗剣殺は五黄殺の対向の方位です。これも今年は五黄土星が中宮に廻座しますから、避ける必要がありません。

③歳破(さいは)はその年の十二支の反対側の方向につきます。今年は東北の位置にある寅年ですから、西南の方角になります。

④本命殺は自分の本命星が位置する方位です。これは各人異なります。

⑤的殺は本命殺の対向の方位です。これも各人で異なります。

先に述べた遁甲の法則は方位だけにかかわるものではありません。運勢の階段のありかたと関係しています。

九星は九星盤の9つの宮を9年かけてめぐります。その順番は図1の数字で示せば1,2,3・・・9の順になります。宮の名称で言うと坎宮(充電運)、坤宮(準備運)、震宮(躍進運)、巽宮(発展運)、中宮(変動運)、乾宮(充実運)、兌宮(悦楽運)、艮宮(変化運)離宮(決着運)です。

カッコ内は運勢のキーワードです。これは9年をひとつのサイクルとして循環します。それにはアップダウンのリズムがあり、中宮までは昇り調子ですが、そのあとは下降線をたどります。フライトにたとえれば、整備点検から始まり、離陸、水平飛行、下降、そして着陸となります。そうしたリズムをわきまえて行動の指針とすることが肝要だと九星の運勢鑑定家は口を酸っぱくして述べています。

九星にもとづく運勢の原理原則はおよそ以上のようになっています。

【参考文献】
東洋運勢学会編 2022 『九星幸運暦』徳間書店。
三須啓仙 2011 『暦の力で運を興す興運のススメ』説話社。

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