こよみの学校

第201回 九星と節切り-運勢判断との関係

旧暦の月日には「月切り」と「節切り」があります(本コラム第183回参照)。「月切り」の場合は暦月(れきげつ)であり、朔(新月)から望(満月)を経て晦日(みそか)までの朔望月(さくぼうげつ)となります。他方、「節切り」のほうは節月(せつげつ)と称し、二十四節気にもとづいて立春からはじまります。暦月は正月、2月、3月とつづきますが、節月は正月節(せつ)、正月中(ちゅう)、2月節、2月中、3月節、3月中という具合に進みます。節とか中というのは二十四節気の節気と中気のことをさしています。たとえば正月節は立春(節気)から雨水(中気)の前日までとなります。正月中は雨水から啓蟄(節気)の前日までです。ただし、1ヵ月単位で数えるときは、正月は立春から啓蟄の前日までとなります。つまり毎月の変わり目は「節変わり」となるのです。

さて、新暦の月切りが基準の今日においても、節切りがつかわれる場合があります。それはもっぱら運勢暦においてです。なぜ運勢暦に節切りが好都合かというと、旧暦の月切りでは閏月が入ってくるので鑑定には向いていないからです。閏月を無視することで、たとえば九星による運勢判断が容易に成り立つのです。

九星において自分にかかわる運勢を知るにはまず自分自身の本命星を把握しておく必要があります。本命星とは自分の生まれた年を支配していた九星のことです。それが節切りということは、その年の立春前に誕生日をむかえるひとは、本命星早見表を見る場合、「前年の生まれ」となるので注意しなくてはなりません。

九星は次のとおりです。7種の色と5つの星の組み合わせです。

ふつうのカレンダーには見あたらない暦注ですが、大きめの日めくりや神社仏閣が発行する小冊子型の暦などには記載されています。単に一白、二黒、三碧と載っていることもあります。

本命星の運勢には年運、月運、日運があります。運勢鑑定の団体が出版している書籍型の暦―神宮館高島暦、沖縄琉球暦、九星幸運暦、基準寶暦など―には詳しい解説が記されています。たとえば、2022年の『九星幸運暦』で五黄土星が本命星の場合、年運は「九星の中心に位置する強運の星で、その強さが善悪両面に表れるのが五黄の特徴。・・・自己中心な態度でトラブルを起こしやすいので注意。」とあります。2月の月運は「変化運の影響で迷いが多く気持ちが動揺しやすいとき」と書かれています。立春の2月4日の日運については「筋を通せば快調に話が進む」とでています。

九星の特徴のひとつは方位の吉凶を知ることで運命を向上・改善することにあるようです。凶方位を避け、できるだけ吉方位を選んで行動することが大切であると説かれています。五黄の2月の方位を見ると、西南と東北が凶で事故や災難、病気に注意とあります。吉の方角はいちばん良いのが年月ともに吉になる南で、東と北も良い方向となっています。

九星による運勢判断は要するに生まれ年(本命星)によって、その年月に回座する九星盤の座所により、9種類の吉凶に分かれることを前提にしています。同じ星の下に生まれた人びとは年・月・日の運(吉凶)を共有していることになります。次に問題となるのは、別の星の下に生まれた人びととの相性(あいしょう)です。それを知るには九星相性吉凶表を調べる必要があります。九星と九星の組み合わせは81通りですが、木・火・土・金・水の五行には吉になる相生(そうしょう、助け合う関係、吉)、比和(ひわ、同じ五行で同士の関係、吉)と相剋(そうこく、対立する関係、凶)の関係があり、表にすると以下のようになります。

どうやら九星を用いた運勢学の基本は、本命星の年運、月運、日運といった「天の時」と、本命星の廻座に左右される方角の「地の利」と、星で表わされる五行の相生・比和・相剋の「人の和」とを組み合わせて運勢判断のよりどころとしているようです。

【参考文献】
東洋運勢学会編纂 2022 『九星幸運暦』徳間書店。

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