こよみの学校

第189回 国民の祝日がない6月―2年連続で10月も

祝日がない6月

2016年、山の日が8月11日に制定されるまで国民の祝日のない月は6月と8月でした。山岳関連団体は当初、6月の第1日曜を候補にあげていました。しかし、祝日数が多すぎるという産業界からの意見もあり、またお盆につければ影響が少ないという慎重論も手伝い、さらに御巣鷹山の航空機事故が発生した8月12日を避けるという意味もあって、8月11日に落ち着きました(本コラム第84回参照)。その結果、祝日のない月は6月だけとなりました。

2020年、2021年の祝日

2020年、東京オリンピック・パラリンピックの開催にあわせて祝日を移動させる措置がとられました。新型コロナウィルス感染症のため東京オリパラが1年延期されても、それは変わりませんでした。主たる理由は大会関係者の移動をスムースにするためです。内閣府のチラシには次のように書かれていました。


東京2020オリンピック・パラリンピックの開催期間中、特に 開会式と閉会式が行われる日は、多くの大会関係者が移動 するため、道路や鉄道の大幅な混雑が見込まれます。そこで、 アスリート、観客等の円滑な輸送と、経済活動、市民生活の 共存を図るため、祝日の移動を実施します。

交通の混雑緩和を主目的として3つの祝日―海の日、スポーツの日、山の日―が移動したのです。

2020年のカレンダーの場合、移動した3つの祝日はしかるべく記載されました。しかし、2021年の祝日移動は2020年の暮れに法律が国会を通ったため、カレンダーや手帳は通常の祝日のまま流通しています。したがって、来たる7月と8月の月表は変更する必要があります。正しくは以下のとおりです。

海の日 7月19日 → 7月22日(木)
スポーツの日 10月11日 → 7月23日(金)
山の日 8月11日 → 8月8日(日)

そればかりではありません。
山の日が日曜日となったため、振替休日が1日増えました。

振替休日 8月9日(月)

2021年のカレンダーや手帳にご注意!

以上のように変更した上で、なお注意しなくてはならないことがあります。それは、赤字等でマークされている通常の祝日を平日にしておくことです。つまりカレンダーや手帳で7月19日(月)、8月11日(水)、10月11日(月)は平日に訂正する必要があります。これを怠ると、思わぬ失態を招きかねません。東京オリパラが開催されようがされまいが、祝日の移動に変更はありませんので、お忘れなく。

このような次第で、国民の祝日がない月は2年連続で6月と10月になりました。もちろん、2022年は元通り、無祝日の月は6月オンリーに戻ります。

祝日の追加や移動はカレンダー業界にとってはいつも頭痛の種です。カレンダーは2年がかりで作成するのが常です。国立天文台が2月1日に翌年の暦情報を発表しますが、印刷にかかるのは2年前の年末から年明け間もない頃がふつうで、4月では遅いくらいです。

2019(平成31、令和元)年のカレンダーでは改元が大問題でしたが、2020年のときはオリパラにともなう祝日移動が懸案でした。それをようやく乗り切ったかと思いきやコロナ禍でオリパラが1年延期となり、カレンダー上での祝日移動は対応不能に陥ったという次第です。とはいえ、全国カレンダー出版協同組合連合会はネット上で即座に「祝日変更のお知らせ」を掲載しましたし、内閣府やマスコミも広報や報道につとめています。昨年も経験したこととはいえ、祝日の移動で混乱が生じないことを願うばかりです。

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