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水無月(みなづき)

青山元不動 白雲自ら去来す

水無月の異称

梅雨明けの空に、大きな入道雲が出始めました。水も枯れ果てる水無月が始まります。水無月というお菓子は、氷を模したういろうと小豆のお菓子。水無月の朔日は、山の室から氷を出す日であったことから「氷室」と呼ばれていました。

水無月は晩夏であると同時に、暑さの盛りを迎えます。季節は前の季節のピークを迎えると同時に次の季節を萌芽させ、ゆっくりと成長していきます。立夏は5月5日ですが、日本はモンスーアジア特有の梅雨が長く、日照時間が少なく気温が上がらないため、一気に暑くなる梅雨明けの猛暑からようやく真夏の暑さを感じます。ここからが暑さの本番。

照りつけるコンクリートやアスファルトと対照的な、木陰の有り難さが身にしみます。人間は樹木に守られてきたことを思わずにはいられません。そして8月8日の立秋を過ぎると、夕方に虫の音が聴こえるようになり、暑さの中にも少しずつ秋の気配が漂い始めます。朝早い時間に、ふっと涼しさを感じることもあります。日中の暑さはまだまだ続きますが、昼間は声を限りに鳴くツクツクボウシの声を聴き、あるいは夕刻にカナカナと鳴くヒグラシの声に涼みながら、夜の虫の音は日々少しずつ高まっていきます。秋に最高潮を迎えるこの「虫の音」が秋の印です。

タオのマークのふくらんだ部分は、細く食い込むように始まる対の尖端より大きく張り出しています。これを2つの季節の入れ替わりと考えていただけると、わかりやすいかとおもいます。前の季節は大きくふくらみつつも、次の季節は小さく生まれていて、ゆっくり成長しているのです。この世はすべて陰陽の法則であり、入れ替わるエネルギーの連続です。

タオのマーク

さて、梅雨明けの目安になる花といえば、百日紅です。その名の通り、梅雨明けから百日間、次々と咲き続けます。百日紅が咲いたら梅雨もそろそろ終わり。チリチリとした花びらが炎天下で縮れているようにみえます。たくましく咲く真夏の花です。

百日紅(ひゃくじつこう)・サルスベリ

炎天の地上花あり百日紅  虚子

散れば咲き散れば咲きして百日紅 千代女

また夏は、白粉花や宵待草など夜に咲く花が多く、夜、散歩すると、ふうっと甘い香りが漂ってきます。虫を誘うためですが、人間の嗅覚も視界に頼れなくなる夜の方が敏感になっているので気づきやすくなります。夜、花の香りに気づいたら、ぜひその香りの在処を確かめてみてください。ふわふわとした白い妖精のようにみえるのはカラスウリ。夜の花はひときわ妖艶です。

カラスウリ

さて、この季節特有の大きな「雲の峰」に、思わず空を見上げることが多くなりました。禅語に「青山元不動 白雲自ら去来す」という言葉があります。山は泰然として動かずにいますが、次々に湧き出る雲はつねに流動し、現世に起こるさまざまな現象や、心のかたちを空に写しているかのようです。ときには山を覆い隠したりすることもありますが、大きな雲もずっとそこにあることはなく、いつしかなくなって、その向うに変わりなく存在する青々とした山が顕れます。

「日々是好日」と同様に、人生には雨の日も風の日も、いろんな日があります。目の前のいろんな出来事に翻弄されて目が曇り、自分を見失ってしまうときもあります。けれど本当はしっかりと自分の中に真我があると信じること。堂々とした山のように、視界からみえなくなっても真我は、確実にそこにある。過ぎ去る雲は自我の心に去来するさまざまな思いのように、その一瞬だけのもの。過ぎ行く雲は楽しくもあり、苦しくもあります。日々去来する雲は雲として、晴れ晴れとした心で山を仰ぐ気持ちを忘れないでいたいものです。

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和文化研究家 高月美樹
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