今年も、新しい始まりを噛みしめるように、初詣は地元、松尾大社へ参拝しました。お正月には、全国の酒蔵から、お酒が奉納され、ずらりと並んだ銘柄を眺めるのは、この季節の風物詩です。
参拝後のお楽しみは、奉納樽の振る舞い酒。目の前の酒樽から、柄杓で汲まれたお酒が、干支枡になみなみと注がれます。お酒のしみ込んだ、枡の清々しい木の香り。私はいつも、この香りによって、巫女をしていた頃の記憶が鮮明に蘇ります。 ピンと張り詰めた雰囲気の大晦日の夜のこと。元旦を目前に控えて、静まり返った境内。数時間後には、新年を言祝ぐ参拝者で溢れかえります。新しい歳神様を迎える直前の静寂を、このとき感じることが出来ました。

かつて、お酒にとって、木の香りはつきものでした。その昔、お酒は木桶で仕込まれ、木樽で貯蔵、運搬したりと、自然とお酒には木香がうつっていたのです。中でも杉の木は、大神神社発祥の杉玉もしかり、神聖なものとして、御神酒には、とくに縁が深いものでした。(→11月「新酒」参考) また、杉の成分には殺菌や防虫効果が含まれ、爽やかな香りには、リラックス効果もあるといいます。 時代を経て、今では酒造りにはホーロータンクが使われ、また瓶詰が主流となり、お酒に漂うほのかな木の香りは、特別なものとなりました。

私は、樽酒の味わいが、日本酒に慣れていなかった頃から好きでした。清々しい香りに、なんだかほっとする味わい。お祝いの日に飲む風情や、特別感もあったからかもしれません。 鼻孔をくすぐる、季節の風情。さて、お正月の樽酒の香りから、いま季節は、春を予感させる香りへ。 街角でふと振り返るのは、蠟梅の花の甘い香り。枯れ枝に灯った明かりのような黄色い花、春の兆し。待ちきれず、春の知らせを受けとった気持ちになるのでした。

元旦に欠かせないのが屠蘇酒。我が家では、毎年、地元の松尾大社から12月頃に決まって、お供えのお下がりに屠蘇散の小袋を頂きます。それを大切に神棚に供えておき、元旦の朝を迎えて、御神酒に屠蘇を浸します。家族一同、無病息災、延命長寿を祈って盃を頂きます。 屠蘇酒は、平安時代に中国から伝わり、宮中行事に取り入れられ、時代を経て、庶民に広まったとされています。屠蘇には、漢方薬と同じ生薬が数種類も調合され、その成分には、血行を良くし、胃腸にも良いものが多く含まれています。お正月のおせち料理などの前には、まさにもってこいの飲み物かもしれませんね。 簡単に自分でも作れる和製リキュールなので、お正月以外にも、ぜひ楽しみたいところです。

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