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今回は2033年問題について学んでみよう! こよみの博士ひろちか先生
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    はるか先のようにみえ、いま話題となっているのが旧暦2033年問題です。日本暦学会は『会報』第20号(2013)と第21号(2014)でこれを話題にしていますし、日本カレンダー暦文化振興協会でも2014年4月4日に東京でシンポジウムが開催されました。その概略は『暦文協NEWS』(通巻7号、2014)に掲載されています。

    何が問題かというと、閏月をどこに置くかについて、いくつかの選択肢があるのです。そのどれを優先すべきかで、意見が分かれています。といっても、まだ先のことなので、議論が白熱しているわけではありません。また、旧暦は公的には廃止されているので、政府や公的機関が音頭をとっているわけでもありません。

    とはいえ、旧暦はいまでもさまざまなかたちで使用されているので、いろいろ影響がでるのです。たとえば、六曜が混乱します。六曜は先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の順で繰り返す暦注ですが、旧暦で月切りをおこなっています。つまり、旧暦の正月朔日を先勝とし、以下、2月朔日を友引、3月朔日を先負、4月朔日を仏滅、5月朔日を大安、6月朔日を赤口とし、それ以降はふたたび7月朔日は先勝という具合に12月まで割り振っていきます。閏月(もう一度繰り返されるおなじ月)の場合はその前の月を踏襲します。たとえば今年の閏9月は9月と同様の六曜の日付となっています。

    新暦では突然、六曜の順番が狂うので、いかにも神秘的ですが、旧暦ではあまりにも当然で、暦に記載されることすら稀でした。明治の改暦以降、突如、暦註としての人気がでてきたのは皮肉なことです。その六曜が、閏月の入りかた如何によって影響をうけるわけですから、友引・仏滅・大安に暦によってちがいが出てはこまります。中秋の名月にしても、旧暦8月15日が維持されていますので、暦によってひと月もずれてしまっては、人びとは困惑します。

    閏(うるう)の置き方の方法を置閏法(ちじゅんほう)といいます。グレゴリオ暦の閏日・閏年の場合はよく知られていますので、ここでは解説をいたしません。たほう、旧暦(天保暦)の場合、冬至を含む月を11月、春分を含む月を2月、夏至を含む月を5月、秋分を含む月を8月とし、閏月は中気を含まない月にすると定めています。中気とは、二十四節気の「気」のことをさし、二至二分(冬至、夏至、春分、秋分)など12あります。ところが、2033年には中気のない月が3回もあるので、どこに入れるか簡単には決められないのです。

    中国の農暦(時憲暦)では、年に2回の中気のない月があれば、最初の月を閏月とすることになっています。それにならえば、2033年にくる3回の無中気の月のうち、第1番目を閏月にすることが一つの選択肢です。実際には、西暦2033年8月25日からはじまる月が閏月となります。すると、中秋の名月は西暦9月8日にあたります。

    第2の選択肢は、冬至のある月を旧暦11月とする方法です。その場合、西暦の2033年12月21日が冬至で、たまたまそこまでが旧暦11月となります。そこで、西暦12月22日からの月を閏11月とする案です。これにしたがうと、中秋の名月は西暦10月7日となり、第一案とはひと月ずれます。

    ほかにもいくつかの案があり、これからさまざまな角度から検討されていくことになります。

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日本カレンダー暦文化振興協会 理事長

中牧 弘允

国立民族学博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授。
吹田市立博物館館長。専攻は宗教人類学・経営人類学。

中牧弘允 Webサイト
吹田市立博物館Webサイト