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日本カレンダー暦文化振興協会 中牧弘允

「天地創造を紀元とするユダヤ暦」

日本カレンダー暦文化振興協会 中牧弘允

国立民族学博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉
教授。吹田市立博物館館長。専攻は宗教人類学・経営
人類学。

ユダヤ暦の新年

「はじめに神は天と地とを創造された」(創世記1:1)

この天地創造の記事を紀元とする暦がユダヤ暦(ヘブライ暦)です。聖書の記述から割り出して天地創造は西暦の紀元前3761107日と定められました。今年は95日がユダヤ暦5774年の元日でした。

ユダヤ暦の新年祭はローシュ・ハッシャーナーといい、2日間つづきます。ティシュリーの月で、安息が要求されます。旧約聖書にはこう書かれています。

71日をあなたがたの安息の日とし、ラッパを吹き鳴らして記念する聖会としなければならない。どのような労働もしてはならない。しかし、主に火祭(かさい)をささげなければならない。」(レビ記23:24-25)

3月を年初とする古代のユダヤ暦ではティシュリーは7番目の月です。実はユダヤ暦には教暦と政暦の2種類があり、教暦は古代の暦法であり、政暦が現在つかわれているものです。

ローシュ・ハッシャーナー

アメリカのカレンダーでみるユダヤ暦

アメリカのカレンダー

アメリカで一般に流通している二つ折りのカレンダーにはユダヤ教の新年が記載されています。たとえばRosh Hashanah (begins sundown)といった具合に、日没からはじまるという注までついています。おなじ月にヨム・キプールもあります。これは大贖罪日という意味です。そのほか一般のカレンダーにのるユダヤ暦の祝日には3月のプリム祭、4月の過越しの祭り、12月のハヌカがあります。プリム祭はイスラエル人を抹殺しようとしたバビロニアの動きを阻止した王妃エステルの賢い行動を記念する日です。過越しの祭りはエジプトに奴隷状態で置かれていたイスラエル人を預言者モーセが率いて脱出するとき、神はエジプト中の初子を殺しましたが、子羊の血を入口に塗った家だけは過越したという聖書の故事にもとづく祭りです。ハヌカは「宮きよめの祭り」ともいい、セレウコス朝ペルシアによって汚されたエルサレム神殿をふたたび聖所として奉献したことを記念する祭りです。クリスマスに近いことから、ユダヤ人の子どもたちとっての「クリスマス」の意味が付与されています。

イギリスのカレンダーにもユダヤ暦の新年が特記されているものがときどき見かけられます。しかし、ヨーロッパのほかの国々ではユダヤ暦の祝祭日をのせた一般のカレンダーにお目にかかったことはありません。これからも注意して見ていきたいと思っています。

19年間に7回現れる13月

ところで、ユダヤ暦は太陰太陽暦です。新月が見えたときラッパ(角笛)を吹き鳴らして新しい月を知らせていました。そして19年に7回、メトン周期にもとづいて、閏月を年末にいれていました。現行のユダヤ暦では、西暦1250年以来、ティシュリーの月が新年の開始とされています。そして19年周期の3,6,8,11,14,17,19年目に30日の月を「13月」としておいています。

 
新月にショファールを吹く人

引き継がれるならわし

新月を観測する人

アラビア半島で預言者ムハンマドの活動がはじまる以前、ひろくつかわれていたのはユダヤ暦でした。ヤスリブ(後のメディナ)に住むユダヤ人から学んで西暦412年から太陰太陽暦のユダヤ暦がつかわれていたのです。しかし、アッラーの啓示は月を12カ月とするものでした。しかも、新月から新月までとさだめられ、実見が要求されました。ユダヤ暦においても細い新月の姿を2人以上の観測者が確認するならわしになっていました。肉眼による月の確認はユダヤ暦からイスラーム暦にも引き継がれたのです。